ふじまるぽーたる

音楽、自作好き筆者の愉快な日々の記録。

つらぬけ自己流〜「曾我蕭白 -無頼という愉悦- 」

 昨日、花見お出かけがてらに京都へ遊びに行き、ちょうど時期が同じだった展覧会「曾我蕭白 -無頼という愉悦- 」を見ました。
 たまたまJRの駅でチラシをゲットして知った画家なんだけど、なんか面白そうやなぁと思って、みんなと一緒にいったんだけども。これがね、想像以上に面白かった。チラシ類の印象では、それこそ円山応挙っぽい幽玄系かなぁと思いつつ、だから見たいと思ってたんだけど、いやいやなんのなんの、そんな上品なものではなくて、ものすごい異物感のある作品を描くキョーレツ人物なのでした。
 図録によると
幼い頃に両親を亡くし弟妹をかかえつつ、何とか生活のために画業についた蕭白の、当時もてはやされたゲージツとしての京都画壇にアンチを唱えながら、むき出しの、いやいや更に増幅した妄想の心象を描いた「無頼」を訴求した多数の作品を紹介するものでした。

 応挙みたいな幽玄を期待していただけに、それを超越したパワフルな作品群に驚くばかり。省筆があると思えば精密な筆致あり、タッチも様々。中国の伝説を題材にしたものがあるかと思えば、鶏やら馬やら身近な素材を題材にした素朴系もあり。さらに、画のサインともいえる落款には「中国皇帝の14第孫である」やら「豪族三浦氏の子孫なのだ」やら「尊敬する画家の直系の子孫である」やら、ハチャメチャのデララメばかり。

  
 何なん?この人おもろすぎ。

 
 マジに落書き?みたいな作品の横に、超〜パラノイアな精密描写が並ぶ展覧会を見終わることにはもう、おなか一杯(笑)。でもでも、ぜんぜんもっと面白いツッコミどころがあるんだろーなー、と思って2500円の図録も買ってしまいました。
 この図録では、冒頭で言ったように、若くして苦労しながら生業とした画業において「へたくそ」「キ○ガイ」といわれつつもライフスタイル、画風ともども自己流を貫いた蕭白に、惜しみない賛辞が捧げられています。展示作品それぞれに添付されていた、思い入れタップリのエッセー風解説は、間違いなくこの図録でも熱弁を振るっていたよ。通常の図録の倍はあろうかと思われるこの熱意、ただごとではありませんな。

 なんだか久々に強烈な「出会い感」のあった出来事でした。
江戸時代の画家なのに、こんなにメラメラとした精気を残すなんてスゴイな。
そして、このメチャクチャぶりに惚れる現代人もたくさんいるんだねー。
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