ふじまるぽーたる

音楽、自作好き筆者の愉快な日々の記録。

児島建次郎「芸能文化の風姿」

 最近には珍しく、ハードカバー本を読んだのでご紹介。
 文化文明の解説を起点に、古来の呪術・祭式を祖とする日本の伝統芸能の有様・変化を日本史の流れと並行して俯瞰で捕らえた作品。入れ替わる為政者の政治的意図によって左右されながらも、近隣国やシルクロード経由のフレイバーを取り込み、たくましく脈々と続いてきた日本の伝統文化は、かっこいいし、刺激的だし、ニーズに応えるトレンディなものだったんだと実感。恥ずかしながら「不易流行」というフレーズも初めて知りましたが、人が人である限り変わらない真実だし、今でも充分泣ける能や歌舞伎の姿や常に音楽やアートを必要とする私たちの姿を映す、含蓄ある言葉だなぁと感じました。
 具体的には、能を中心に歌舞伎、浄瑠璃まで、日本の伝統芸能といわれる空間・舞台芸術を語っていますが、それらとともに語られる歴史や風俗が面白く、お勉強嫌いだった私は、おかげでやっと日本の古代〜中世の流れがつながったのでした(笑)。はじめは難解さが目立ち、読みにくいと思ったけど、読み進めるにつれ、どんどん面白くなった本。

芸能文化の風姿―その曙から成熟へ

芸能文化の風姿―その曙から成熟へ