ふじまるぽーたる

音楽、自作好き筆者の愉快な日々の記録。

名古屋ボストン美術館 「恋する静物〜静物画の世界」

IMG_1262 子供の頃は「静物画って退屈だな」と思っていました。だって、リンゴや花瓶が置いてあるテーブルを淡々と描いただけなんだもん。人がいるわけでもなく美しい風景というわけでもなく。

 本展覧会の内容は、16世紀の人物画と静物画の過渡期から現代にいたるまで、ヨーロッパ、アメリカを中心とした作家の作品を展示。陶磁器や銀器、装飾品などに施されたモチーフとしての静物も展示されています。語らぬモノと作家との間に生まれ画布に捉えられた、ささやかでひそかな想い。静物画ばかりという、ある種ミニマムな空間ながら、様々な時代、作家の作品を並べることで、それを浮き彫りにしようという展覧会です。

 久々に一人だったので、じっくり時間をかけて観ました。ひとことで静物といっても、寓意に満ちたものから印象派キュビズム、映像作品や生活用品まで、時代や手法、作風も本当に多彩。みどころのセザンヌ静物画は思ったよりは感銘を受けず、己の学のなさを嘆きながらも、久々に感受性を取り出して、ずらっと並んだ作品を観て思ったのは
「私もこんな気分になったことがある」
ということ。

 どういうことかっていうと、
最近よく写真を撮るのだけど、何気ない生活の中で思わずファインダーをのぞいてシャッターを押したくなる瞬間。おおげさなシャッターチャンスではないんだけど、自分だけのグッとくる色、光、形、構図。見つめているとドンドン研ぎすまされて、すごくいい画に見えてくる瞬間。よくぞ神はこんな形を造りたもうた、と思ってしまう瞬間。そしてそれに意味を感じてしまうことすらある。次の瞬間、その感覚は消えてしまうこともあるんだけども。そういう気持ち。
私にとっては、ここがつながったことは発見でした。

 実際は、静物画の画家はアカデミックな意図や商業的意図、あるいは宗教的な意図を持って描いているだろうし、静物画の何たるかなんて全然わかってない私ですが、今日はなぜかこういうところにシンクロしたようです。何かと忙しい毎日の中、モノのたたずまいに何かを見いだす視線、静謐な心持ちに憧れているからかもしれません。

 気になった作品は

  

 静物 = still lifeというそうです。
The Rolling Stonesのライブアルバムを思い出したのは私だけ?笑
 

「恋する静物静物画の世界」名古屋ボストン美術館(2012年2月19日まで)
http://www.nagoya-boston.or.jp/exhibition/list/stilllife-201109/outline.html
http://www.nagoya-boston.or.jp/exhibition/list/stilllife-201109/point.html