実に６年以上？ご無沙汰の観戦。マルチアート集団、溺れたエビの検死報告書。
今回は、舞現家・妖己さんが主宰するヒミツ大学での「エビ解剖」企画だ。
エレクトリックアップライトベースを操る総帥を中心に打楽器やギター、時には楽器以外の鳴り物を駆使し、静寂から狂躁を行き来する超カッコいいこの集団。しかも全員、エビのマスクを装着している。
毎回、アーティストの魅力、ヒミツをつぶさに味わうべく展開されているこのヒミツ大学、今回のコンテンツは
「総合演出・山本氏と評論家・樋口ヒロユキ氏対談」、「エビの演奏ワークショップ」「報告書提出（ライプ）」「記念撮影＆サイン会」というもの。
昼間だし、バラエティに富んだ内容だったので、今回は５歳娘も帯同しました。ちょっとは親のアングラな面にも慣れてもらわないと（笑） しかしやっぱいきなりのエビ登場＆ライブに悲鳴を上げて泣く娘。ま、そらそうやね。しかし予習させると参加自体も危ぶまれたもんやから…しばらくは「もう二度とこんなトコ来たくない〜泣」と騒いでいました。
しかし、初っ端のライブ後の対談などは何とかなだめて娘も鎮火。
エビの発案者の一人でもある総合演出家・山本一慶氏から聞ける話はレアそのもの。エビのコンセプトやマスクの変遷、音楽的こだわり。未踏の地を目指すマルチアート集団としての、未来の話もたっぷり聞けました。しばらく音沙汰もなくなかなかアルバム発売のニュースもなかっただけに、これからがますます楽しみになる対談でした。
ワークショップではまず、エビになったら必ずマスターしなければならないという、手の動きをレッスン。あの、ワシャワシャてやつ。エビ類の口元でいつも動いている腕を表現しているそう。そして、決めポーズ。何がモチーフだったか忘れてしまいましたが、この辺りの細部へのこだわりは彼らがマルチアートと言われる所以。スキがあってはならないのです。
その後。こだわりのひとつでもある「楽器らしくない楽器」が登場、観客をステージへ。変態したサンゴのように組まれたシンドラを３人で操り、ポリリズム実体験。大所帯のエビのサウンドのキモでもあります。専属のミキサーを抱え、会場に流れる「ボコボコ…」という泡のSEにすらこだわる、この変態ぶりがたまりません。
次に用意されたライブ、次々に現れたエビたちにも娘は平気。音は少々デカいものの何とか観戦できるかなと思いきや…いつものお約束、観客拉致行動にでたエビを目撃したとたん、娘は悲鳴を上げて脱走。ま、そらそうやね。泣きながら「帰りたい」という娘でしたが、フォーン担当エビのまるで江頭なダンスを眺めているうちに観戦許可を下すに至り、私もやっと久々のエビを堪能。
昔に比べ、なんとサイケデリックな出で立ち！そういや昔はブラックスーツだった。今はもう、変態に変態を重ねた深海のエビ。マスクもカラフルなら衣装もインドネシアな獣モチーフに蛍光色、眼光ライトと民族ミックスなエキゾチズム。色とりどりのクロックスを履いて。会場が明るいのもあるけど、以前のダークなイメージから一転。
サウンドは、ある程度スリムになった編成もあってか、カオス要素よりもまとまったイメージ。インダストリアルっぽいイメージからファンキーへ。この辺りは、迎合ではなく進化であると力説されていました。しかし全く、エビでこんなに踊りまくれるとは！ 最後は娘を抱きながら最前列でガシ乗り。ライブ最後のお約束、告知物ばらまきタイムではフライヤーではなく、かっぱエビせんのシャワー。優しい主宰者、オーディエンスにいっぱいエビせんもらって娘は機嫌が直ったのか、エビ退場の際には「バイバイ」するまでに。ま、総帥のどアップご挨拶には顔を背けてましたが笑。
ライブ後には、なんとエビたちと記念撮影タイム！ものすごいサービスだ笑。しかもその後、ポラにサイン！考えられない。見事なツンデレだ。エビも成長するんだなw。残念ながら娘の拒絶により私は撮影に参加できませんでしたが、みんなのエビ♡ぶりが可愛いひとときでもありました。
初っ端のライブ後に明かされましたが、２代目という総帥。最初のへそ出し衣装の時は仰天しましたが、さすがの威厳。あれだけの演奏、運動量をこなすのは凄すぎる。カッコいいっす。
対談では、P−FUNK軍団や現代音楽家など、さまざまな比較対象がでてきましたが、将来的には、肉体や視覚、聴覚、さまざまなアプローチで、ステージ対オーディエンスという構造までも壊したいというエビたちの野望が垣間見えました。
最後に、娘を抱えて参戦する私たちに嫌な顔ひとつせず、貴重な体験をさせてくれた主宰者のみなさま、ゲスト、オーディエンスのみなさま、ありがとうございました。次回に備え、娘にはDVDでエビ修行させておきますー。
