ふじまるぽーたる

音楽、自作好き筆者の愉快な日々の記録。

映画「DORIAN GRAY」

ドリアン・グレイと言えば、オスカー・ワイルドの長編「The picture of Dorian Gray」。
これは3度目の映画化だそうです。
この作品には縁がありまして、過去に偶然にも映画1本、TVドラマ1本を見ています。
今回見た映画「ドリアン・グレイ」は2009年の作品。これまた たまたまイマジカBSで発見して視聴しました。

主演のベン・バーンズ 、歴代のドリアンの中では一番 美しいでしょうね。
これ大事。
黒髪に近いブルネットの髪に瞳、セミロングのふんわりヘア。スラリとした体躯に少し崩した紳士服。たまに惚けたように開く口とハッとする笑顔は、誰をも虜にする美青年ドリアン、という設定にも似合ってると思います。
…アタシ好みじゃないんだけどね;^_^A

この物語の肝はやはり退廃美。
無垢な美青年が都会の男にそそのかされて心身ともに汚れてゆき破滅する。
…ゾクゾクする展開ですよね!

全体的には、ベン・バーンズのノーブルさを大事にしたのか、
無垢だったがゆえに、人間だったがゆえに、美しいドリアンが退廃/倒錯/堕落によって不可逆的に汚れていくという哀しみよりも、
トラウマ/虐待/愛を知らないといった背景をねじ込んで堕落の純度を落とし、通俗的な哀しみでキレイにまとめてしまった作品という感じです。

私が一番はじめに見たのが
1970年作の「The Secret of Dorian Gray/ドリアン・グレイ〜美しき肖像」。
深夜TVで見たはずですが、子供心にその倒錯ぶり、イヤなんだけど目が離せないドリアンの美しさ、もの欲しげにドリアンに群がる人たちの虫けらのようなつまらなさ 、などに衝撃を覚えた記憶があります。
もちろん、後に小説も買って読みました。オスカー・ワイルドを知ったのはこの映画があったからこそです。
今回あらためて調べてみて、主演がヘルムート・バーガーだったのを知り、大大大納得。
作品制作時期や監督、作品自体の時代設定もありますが、美しさと狂気、野卑の境界線のような抗いがたい魅力で本質を語っているような気がします。

その後、偶然に見たTVドラマ「The Sins of Dorian Gray/美女ドリアン・グレイの秘密」は、1980年代らしく舞台はショービズ界で主人公も女性。面白いストーリーのサスペンス、といった具合でした。

1945年作品は見ていないのですが、主人公がとにかく美しいっていうのはいい。目の保養になりますね。
徹底的な美しさがかかえているかもしれない何か。
それを持ちようもなく、こうやって作品を鑑賞できるのは平和なものです。

ドリアン・グレイ [DVD]

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