ふじまるぽーたる

音楽、自作好き筆者の愉快な日々の記録。

親の勉強〜映画「みんなの学校」


なんとなく惹かれて見に行ったドキュメンタリー映画
発達障害がある子、登校拒否の子、問題児もすべて一緒の教室で学ぶ、大阪市のとある公立小学校のお話です。
ここでは、大人が子供を助けるのではなく、子供がお互いを助け合う姿がみられます。
学校に行けなかった子も、問題だらけの子も、無事に学校生活を送れるようになっていくのです。

どうして?
映像には映らなかった努力、苦労、残された問題…たくさんあったとは思います。けれど、
 子供が子供を、
 子供が大人を、
 大人が子供を信頼する。
 子供が自分自身を信頼する。
ここに映されているのは、
すべての子どもたちと信頼関係をていねいにていねいに作っていった、校長先生を筆頭とした先生方の熱意と頑張り。
そして、徐々に目を輝かせながら、先生や友達に応えていく子供の姿です。
創立間もない頃の話として校長が語るエピソードがあります。
学校が始まって転校してきた問題児。3ヶ月経っても解決しない状態だったそう。そんなある日に学校を逃亡、必死に追いかけた先生が雨に濡れた廊下で派手に転んだ際、逃げようと思えば逃げられたのに、その子は先生のところに駆け寄り、ずっと「痛かったね、痛かったね」と体をさすっていたそうです。
するとその翌日から、その生徒は二度と逃げることも不登校になることもなくなったというのです。先生も、その生徒も、学校の指導要綱も、何も変わっていないのに。
「変わったのは、周りの生徒たちなんです」
先生はそう語りました。周りの生徒がその問題児を理解し、受け入れたのだと言います。

私たちの生活でも、何をやっても、どう頑張っても上手くいかないことって、よくあります。
けれど、何かのきっかけでピンとひらめき、今まではまらなかったパズルがカチャッとはまる。このエピソードは、そんな魔法のような瞬間だったのでしょう。

子供の根本にある向上心や理解力。
砂場に埋もれたビー玉を探すみたいに、あちこち探りながら、それを見つけたら磨き、キラキラに輝かせる。
大人の役割って、そういうこと。そうすれば、子供たちは自分で動き出す。
いろんな環境下でメゲたりスネたり、こじれたり、いろんな子供がいるけれど、大人は子供の持つ向上心や理解力を信じ、寄り添う必要がある。そしてある時、きっかけがやってくる。

ここで人間力を培うのは、何も問題児だけではありません。
リレーの場面、校長の痛烈なダメだし、というエピソード。
それぞれのチームには、できる子できない子、いろいろいる中で、漫然と自分だけ頑張って走る。それでは最善を尽くす作戦が立てられていないと。
子供たちは考えます。
体のバランスが取れない子には併走を、バトンタッチを工夫して不利を挽回、など。そうやって、周りの子供も成長していく。社会に出たら、こんな対応を迫られること、たくさんある。そして、こういう対応をするって、相手を見つめ、理解すること。そして、受け入れること。

学校に掲げられていた「自分がされてがイヤなことは、人にしない」という標語。
とてもシンプル。
でも、子供の根本にある願い、安心がここにはあると信じることができれば、まずは学校に行ける。そして本来の力を発揮することもできるようになるのでしょう。
「やりなおしの部屋」。校長室のことですが、子供たちは、やらかしてしまった時、何があったかを先生に告白しにいきます。先生は、咎めるでもなく子供の懺悔を聞くのです。ただし、倫理基準となる善悪の判断はしっかりと伝えて。
話の後そこを出る子供の顔は、さっきとは全然違う、なんてスッキリとした顔!
校長は、その子の卒業式で「自分のために頑張れ」と言葉を贈ります。

われわれ大人は、子供が自分で学んでいくために、支え、見守る必要があるのですね。

人間は社会で生きて行くもの。
小学校で得た社会性、人間力といった「学び」が将来、大きな力になる。
自分の子供も、学校から逃げずごまかさず、どれだけ学べるか。しっかり見守っていきたいと思います。

「みんなの学校」公式サイト