ふじまるぽーたる

音楽、自作好き筆者の愉快な日々の記録。

ボヘミアンラプソディと秋の紅葉

私には6歳年上の姉がいる。
真面目で頼り甲斐のある彼女に較べ、私はいつも勝手気まま。何でもかんでも姉のやることに興味を持っては真似をしていて、同世代に較べ早熟で生意気な子供だったことだろう。

そんな姉の影響のひとつが洋楽趣味。
それまでは、ピンクレディやキャンディーズといった歌謡曲アイドルに普通に夢中だった私。
でも、姉がテレビで「Pops in Picture」という洋楽を紹介する番組を見ていて、そこで出会ったバンドのひとつがクイーンだった。

その当時は、クイーンの他に、キッスやベイシティローラーズなどが大人気。ミーハーが嫌いだった私は
「キャーキャー言われてる割にボーカルがイモくさいベイシティローラーズ」
「キッスはマンガっぽくてやり過ぎ」
と思っていて(ファンの方すみません)、クイーンは消去法的に「認めたバンド」だった。姉はクイーンが大好き(イケメンメンバー好き)で、私は自然とクイーンに馴染んでいったのでした。

その後のパンクムーブメント以降、ロック好きとして独り立ち(笑)した私ですが、80年代のクイーンの多様化期、低迷期、ソロ活動もずっと横目で併走。
横目とはいえ、一番音楽を聴いていた時期なので当然クイーンの曲は体に染み付いた。


そんな時に突然届いた、フレディのエイズ罹患の報。
スポーツ新聞の1面にデカデカと載っていたような。
新作の内容がシリアスだったり、PVのフレディの面変わりを感じていたので
「…やっぱりな」
と思ったのを覚えている。
会社の入り口で、ガックリ膝を落としたことも。
そして、このままでクイーンが終わってしまうのは嫌だなと。
まだ観てないぞ、と。
そして翌日、フレディは逝ってしまった。

 

いつだってそうだ。
喪ってしまってから
「もっと○○しておけばよかった」
と思うもの。
私にとってクイーンのライブはそのひとつで、心残りだった。

 

今年の秋。
鳴り物入りで封切りされた「ボヘミアンラプソディ」。
音楽ものの映画、特に、具体的にファンだったアーティストの映画には期待しないことにしているので(苦笑)、あまり食いつく気分ではなかったのが本音。
 主演のラミのアクションがフレディをよくなぞってるよねってだけで、内容もプロモーションもチェックしていなかった。

けれども、さすがニッポン。
別件で映画館に行った時に見た大型看板とダミーのピアノを見た時に、やっぱり心が疼いた。

「観たい」。

おまけに、学生時代の音楽仲間にはクイーンファンが多く、ちょっとばかし盛り上がっていたしね。

そして封切り前には、試写を見た人から絶賛の嵐。
これは絶対見ないといけないな、と心に決め、

そして、姉にメールした。

 

f:id:fujimaru3:20181020094040j:plain

目立つ位置に特大パネルと段ボール製?のダミーピアノが。

 

11月下旬の3連休。
程よく遠い距離の実家。
いつでも行けると思うと案外行かないもので、今年初めての帰省だ。
目的はもちろん「ボヘミアンラプソディ」。

すでに観戦した皆さんの声を参考に、姉との十分な協議の結果、最高の状態で見ることができるIMAXシアター@エキスポシティでの観戦とした。
…結局、大阪での観戦なんだけど、一度実家に帰っておくことは重要なのだ。

前日飲みながら映画の話をし、翌日タオルハンカチを携えて姉の運転でエキスポシティへ。
無免許の私、姉にまだ頼っているのが笑える。
慣れない大阪での運転でグルグル周り、ようやく現地入りしたのは夕方。
 18:30スタートなので事前に食事をしたら、けっこうギリギリで、あわてて席に滑り込んだ。
そして、まるでブライアンな
 「20世紀フォックスのファンファーレ」。

内容は、皆さんご覧になった通り。
ラミはじめ、メンバー役の俳優陣も素晴らしかった。
ずっと長く続いていたメアリーとの関係は知らなかったことで、フレディの複雑で繊細なパーソナリティを思い、なんと時代は残酷だったんだろうと胸が締め付けられた。
横を見ると、姉がハンカチを握りながら泣いていた。

しかしまぁ、フレディの生き様に焦点を当てたとはいえ、
クイーンの魅力を十分に堪能するには正直、時間がもっと欲しかったなぁ。前半もう少し丁寧に描ければ…

クイーンのすごさや魅力がメンバー全員のケミストリーだったこと。
フレディが欠くべからざる元素であったこと。
そして二度と同じケミストリーは生まれないこと。

クイーンは奇跡で永遠なんです。

ラストのライブシーンは圧巻で、
メンバーみんなが本人に見えたのは、皆さんと同じ。
ほんと役者陣スゴイ。


クイーンを観れないままフレディがいなくなり、
 やり場のない「やりのこし感」を抱えていた私にとっては、
あの憑依ぶりには、少しは成仏させてもらえた気持ちだ。

ヒゲ同士のキスシーンには、娘を帯同していたのでどうしたものかと思ったけど、ま、ウチの子はル・ポールを敬愛してるから大丈夫だろう笑。

 

映画館に行く前に、姉のすすめで実家近くの紅葉の名所へ立ち寄った。
赤や黄色、黄緑、オレンジ…
いろんな色が美しく映えて、短い散策だったけれど図らずも心が洗われた。
こんな気分、何年振りだろうか。

やっぱり、きょうだいはいいもんだね。

 

f:id:fujimaru3:20181125145906j:plain

クラシック四重奏の生演奏が流れていました。