「このきれいな花びらの色で絵を描いてみたい」
子供の頃、オシロイバナやツユクサなどを見て、よくそう思っていました。でも、花びらをつぶした汁を筆にとって描いてみても、すぐに汚くなってしまい、「なぜ見た時の色のままにならないのかな」といつも思っていました。そんな人、多いんじゃないかな。
この本「色彩―色材の文化史」は、古来から人間が表現手法のひとつとしていた絵などの描画材料や染料としての色材を、どのようにして手に入れてきたのか、そして、それとともに発展した化学/科学、文化、高価な色材をめぐる国際間競争までを簡潔にまとめています。
いま使っているインクや絵の具、着ている洋服の色なども、多くの人の危険と隣り合わせの研究の成果であり、どの色にも長い歴史があるのだと思うと、いろんなものが愛しくなってきます。表紙をはじめ、色材や絵画などのカラフルな写真も美しくてハッとさせられます。ヒトの心を動かし経済まで動かしてしまう「色彩」というものの力や存在の重要性を改めて感じる1冊。
- 作者: フランソワドラマール,ベルナールギノー,柏木博,Francois Delamare,Bernard Guineau,ヘレンハルメ美穂
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 単行本
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