ふじまるぽーたる

音楽、自作好き筆者の愉快な日々の記録。

Primal Scream アルバムミニレビュー

旧サイトから再掲。


1987   sonic flower gloove
 アコギサウンドとヘタレボーカルが初々しい1st。今となってはこのアルバムは特異だが美メロなど今に至る本質が既に顕れています。彼らの60年代趣味が如実な作品。日本ではネオアコブームの真っ最中でしたので、この頃を偏愛するオールドファンが多数存在。



1989   primal scream
 まるでprimalsを象徴するかのような二律背反サウンド=ivy3で始まるアルバムは、その後の彼らの萌芽があちこちに見えるアルバム。ここで聴けるヘナチョコR&Rと内省的な美しい歌、ヴァイナルジャンキーならではの多様な音楽ベクトルは大基本、そのまま現在まで変わっていません。アタシはここから入りました。

プライマル・スクリーム

プライマル・スクリーム



1991   screamadelica
 アシッドハウスムーブメント、Andy Weatherall@DJ番長との幸福な出逢いにより産まれた歴史的名盤。独特の美メロとアンディのユニークかつスピリチュアルなサウンドスケープが四つ打ちに乗る様は、今聞いても震えます。彼らのキャリアの中でも、分岐点となった作品。ファンク、R&B、ゴスペルなど黒っぽさの注入が顕著。

スクリーマデリカ

スクリーマデリカ



1994  give out but don’t give up 
 日本では最もプライマルが名を成したアルバム。黒光りするスタッフ、ゲスト陣を迎えたベタベタのR&R作。フェイセズストーンズばり、と称された作品。代表曲のひとつ「ROCKS」収録。はっき言ってこの頃、彼らはイケイケのキメキメでしたが、個人的にはアッパーなファンキーチューンより、スローなバラードやレイドバックした歌ものが好き。泣ける曲、佳曲多し。



1997   vanishing point
 前作の揺り戻しか?と思わせる程の内省の淵へと彼らが進んでいった大作。ダブの手法をキーに、脳とマインドを切り拓く様なサウンドスケープは、一瞬にして夢と現の境をにじませる。一般的には好き嫌いの別れる作品と思われますが、アタシは最も好きな作品かも。双子のダブ版「ECHO DEK」有。じっくり対峙すれば、いろんなトコロに効きます。

バニシング・ポイント

バニシング・ポイント



1997   echo dek
 エイドリアン・シャーウッドによる「vanishing point」のリミックス盤。しかし聴く人が聴けば、こっちの方が強力。殺傷力の高い「vanishing point」の「武器」を露に感じさせます。

Echo Dek

Echo Dek



2000   XTRMNTR
 内省から覚醒へ。問答無用のカタルシス爆発殺戮サウンド。前作から正式加入したマニ、ゲストのケヴィンのサウンド貢献はもちろん、音楽的変遷を奇跡的なタイミング、バランスでもって結実させた傑作。重低音ベース、爆音ギターの洪水に髪が逆立つ。これ聴くと、家帰りたくなくなります。個人的名曲「shoot speed,kill light」収録。

エクスターミネーター

エクスターミネーター



2002   evil heat
 ビンラディンのせいでケチがついた作品「RISE=元BOMB THE PENTAGON」含む、賛否両論分かれるところの最新作。エレクトロとR&Rのミックスが微妙といえば微妙か。生来のロケンローラーである彼らが、安易にグルーヴに流れない寸止めサウンド、淡々としたエレクトロサウンドを基調としつつ、ジャンク系ノイズぶちまけてる所がすてき。アレック・エンパイヤの起用といい、ジャーマン好きがモロに出たか。