ふじまるぽーたる

音楽、自作好き筆者の愉快な日々の記録。

制御不可能なグルーヴに支配された90分   ~THE YELLOW MONKEY "SPRING TOUR"    大阪城ホール

大阪2日目。ふじまるのSPRING TOUR ファイナル。
お昼間に大阪城でお花見。ライブも最高だし、いい気分。 と、しこたまビールをしこむ。さらにいい気分だ(笑)。 とにかく名古屋でとても手応えのあるものを見せてもらった上に大阪初日も同様に、 それがまぐれ当たりではないことを確認できて、晴れ晴れとした気分でライブに臨む。 しかし、花見気分も吹き飛ぶほどに、スゴイものが待っていたのだ。

後日メンバーも認めているように、この日は、かなり吉井がハイパーだったようだ。 「薔薇娼婦麗奈」はじめ、昔の曲がやたら激しく、激しく、激しいのだ。 歌唱に力が入っているせいか、名古屋で見せた異常な程のフットワークも控えめ。 名古屋では、その変貌ぶりばかりが目についた過去曲なのに。すごいスリリング。 一体どうした?吉井も酔っぱらっているのか?(ウソウソ:笑)
加えて、あの熱気。今ツアー最大の特徴である、あの集団トランスが爆発したのだ。 理由はわからないが、複数の同志が言うように、「大阪だから」なのかもしれない。 名古屋でも感じた意識とサウンドの改革+ある意味「敵」で「味方」のオーディエンスは、 「吉」とでれば、あんなすごいパワーを生むものか。
大阪の千秋楽だからだろうか、この日はなぜかはじめから空気が違っていたように思う。 ま、アタシが千秋楽だからね、当てになんないか(笑)。

この日、「バラ色の日々」は脱皮した。
その軽快な曲調とPVのイメージ(爆)から、リリース当時はヌケきらなかった (私にとって、ね:笑)1曲が、今ライブ仕様のグルーヴと唱和するオーディエンスの 力によって、全てに届く1曲として昇華したようだ。
「追いかけても追いかけても・・・」「I WANT POWER,I WANT」・・・妙に伝わる。 少しベタ気味の歌詞は、この姿のために用意されていたのだろうか。 オーディエンスの声の圧力で大阪城ホールが大きなひとかたまりになった一瞬だった。

そして「JAM」。名古屋では、まるで私たちに差し出されたように唄われた曲。
曲の中のエッセンスのみを注意深く取り出して、「ぼくらの」JAMとして 唄わせてくれたように感じた曲。
ファンになる前にヒットしていたこの曲に対して昔、アタシはあまり思い入れもなく、 そのスタンダードナンバーぶりに鼻白む思いさえしていたのだけど、 その気持ちを変えたのがPVだった。
”身を絞るほどに激しくのたうち回る吉井”
ここには、それと同じ彼がいた。
何にそんなに渇望しているのか、何をそんなに希求しているのか・・・
この日の彼は、大阪城ホールを満たしている熱気とグルーヴに、そして自ら抽出した 「JAM」のエッセンスに今現在の己が再び感応し、曲が生まれた頃に戻ったかのような、 そんな絶唱だった。泣きました。この感覚は、この日会場にいた人すべてに伝播したはず。

自信が背後にある勝負意識。
対バンの客を奪いながらでっかくなっていったライブハウス時代の「むき出し感」。
売れる気マンマンの`Cherry Blossom Revolution'にあった「高揚感=エクスタシー」。
それらライブをリアルタイムで見たわけじゃないし、ご本人達に聞いたわけでもないけど(笑)、 この日のライブでは特に、それに似たものが共存していたように思う。

バンドの持つ世界観に対する共感・シンパシーといった、一種、「個」のコアな喜びだけでなく、 確信的に生み出したグルーヴで、我々からさらに新しいエクスタシーを導き出していた姿。 それは、その傍若無人のマインドと、ロックとダンスの融合という、新しいグルーヴによって 「僕らの音楽」となりえたSTONE ROSESと重なるように思えた。 (だんだん大げさになってきたな・・・笑)

バンド歴10年にもなって、ここまでドラスティックに新章を迎えるってのもすごいな。 そりゃファッションも変わるでしょう、「切り捨て発言」もするでしょうさ(笑)。 でも決して「変わってしまった」わけではない。新しい武器を手に入れただけ。
だって結果的に、届いたものは同じだったのだから。

(2000.04.16 THE YELLOW MONKEY "SPRING TOUR" 大阪城ホール。旧サイトより移転載)