ふじまるぽーたる

音楽、自作好き筆者の愉快な日々の記録。

「ぼくらの」THE YELLOW MONKEY    〜THE YELLOW MONKEY "SPRING TOUR"    名古屋市総合体育館レインボーホール

 再三再四、メンバーも言っていたようにパンチドランカーツアーはバンド歴にとって 大きな節目となりスプリングボードになったようだ。「SICKS」「PUNCHDRUNKERD」2枚のアルバムをまたいで流れていた変革へのうねり。 しかしながら、有無をいわさぬ、知力体力果てるかのような113本というライブツアーの後で、もともとメンバー自身が持っていたバランス感覚(現実認識能力といってもいい)と心情が自然に歩み寄ったというところか。

 「若い人達にもっと働きかけたい」 
これは、ユースカルチャーへの媚びではなく、古い言葉で言うところの初期衝動、自分たちの 原点と若い世代の中にあるものとの間には何ら隔たりはなく、ポピュラーミュージックとして 自分たちの音楽が響かない訳にはいかないのだという意識なのだと思う。

 自分たちの癖(へき)と嗜好によってそれが届かないのは歯がゆいばかりという部分での ふっきれがもたらした(と勝手に思ってるんだけど)NEWミレニアム・イエローモンキー。怒濤のシングルリリース、続くスプリングツアーで見せた姿は「ううむ」と唸らせる 驚きのたたずまいだった。

 オープニングで見せた「楽園」。
以前のフックの効いたリズムとは異なりシンプルな8ビートで 聞かせる。ここでショックにも似た(笑)驚きを覚えたのでもう、後は全てリズムが 気になって気になって。アタシはかなり後ろの席だったので判らなかったけど、アニーが 耳になんか付けてたたいてたそうだし(何かって何やねん:笑)、エマのギターもかなり テンポに気を使っていたし。全体的にゆったり浮遊できるテンポで曲が進められていた。 そう、「モッシュ」にぴったりなのだ。「熱帯夜」までもが同質!どぉよ?!みなさん? なんだかタテノリじゃなかった?(笑)
そして吉井も客に唄えとあおるあおる。まるでオアシスじゃん。シンガローン! そしてさらに、ほぼ全席「ささげ」のウェーブ。

 セットとしては、曲もバックアップミュージシャンも、メカラウロコを見た人間にとっては 目新しいものではないんだけど、様変わりしたサウンドに、こっちの方がメカラウロコ(笑)。あまりのタテノリ「ささげ」状態に、一人意地になって踊りまくっていたのだけど、こまかく打ち込まれたリズムパターンはかなりの快感度。これはイケます。そういう意味で、あんなにリラックスして身を任せられる黄猿ライブはなかったなぁ。違和感を覚えながらも・・・なんて単純なんだ、アタシって。ま、シンガロン系も好きだから(笑)
 あと「SECOND CRY」。
吉井がエレアコ抱えて迫り上がりから唄ったその歌は、ストリングスやギターが細かく重ねられていてゴージャス。とても『名曲』。なんだか遠い。濃いファンにはダントツの支持率の3rd「JAGUAR HARD PAIN」を象徴するこのナンバーがこのように演奏されることに、なんだか「訣別」を感じて少しさびしさを覚えた。3rdからの選曲が目立ったが、その他の曲も含めて新たな意味を与えられていたような気がした。

 そして「テーマ無きツアー」と一部でささやかれた(笑)ライブ中、目玉だった新曲群。
 「SHOCK HEARTS」。
入魂の新THE YELLOW MONKEYモード。本来の黄猿のミソともいえるキャッチーなコーラス、ギターリフ、リズムのフック、色気などが満載の上に、小細工なしの直球サウンド。ファット気味ともいえるが(笑)。そして「唄おうぜっ」のサビ。お見事。会場全部、狂ったようです。
 「DEAR FEELING」。
初めて聴いたけど、凝った構成にプログレか?と一瞬とまどう(笑)。RAGE AGAINST MACHINE似の1stヴァースにニヤリとしながらも、歌詞の詩情に酔う。
 そして、アナウンスなしでさらに新曲。
R&R歌謡。アン・ルイス出てこーい、って感じ。どうやら歌詞が、かなり遊び系。すでにその夜、サビが頭の中をまわるまわる。
 新曲の後にそれぞれ、過去曲より似たテイストのものを続けるという細かな配慮がなされていて。 ここまでされるともう、なんだかコワイね。
 「聖なる海とサンシャイン」。
5バージョン収録されていたマキシ中、3番目のバージョンに最も近いのだろうか。個人的にもバランスのとれた今の音だと思っていた上に、ライブならではのSEなどの演出もあって大満足。どうしてもサウンド指向のアタシなので、歌詞とのバランスはわからないけど、最高の出来だったと思う。作品でもこれくらいやってくれたらうれしいな。

 アンコールは「SPARK」「SUCK OF LIFE」「Welcome to My Doghouse」「JAM」の名曲群(他人のセットリストからパクリました)より各日3曲ずつのピックアップ。 頭からここまで、キメすぎじゃねぇの?って感じ(笑)。

 こうやって印象を書き留めているだけでも、これだけの起伏があったライブだったのね。 正直、この力量に驚かされてしまった。・・・いやいや、高飛車発言ではなくてね(笑)。人間、へこんだら次のジャンプはこんなに大きいのかぁー、PUNCHDRUNKERD TOURのすごさが伺い知れるなー、なんて(またふりだしに戻るのか:笑)。これを10本しかやらないのかー。ふーむ。アタシの観戦歴から言っても、これを 見られたのはなんだかとってもラッキーだったような気がするな。
うーむ、あと2本。しっかり見なければ。
(2000.04.08〜09 THE YELLOW MONKEY "SPRING TOUR" 名古屋市総合体育館レインボーホール。旧サイトより移転載)