ふじまるぽーたる

音楽、自作好き筆者の愉快な日々の記録。

年間自作堂、スタート

 住まい近くにある、山本博工務店さん主催の「年間自作堂」が始まりました。大工さんに教わりながら月1回、半年間かけて小さな小屋を建てようというもの。この工務店は木の良さを活かした伝統工法による家作りを旨としているため、大工の基本技術、木造住宅の構造などを理解できるというものです。
 今回は14期目、男女合わせて10名のクラス。女性が6人もいらして、その参加動機「自分で家を建てたくて」「設計関係の仕事なので現場ももっと知りたくて」などなど、それぞれの積極姿勢に感心しきり。男性陣も関連業種から興味を持たれた方、奥様に勝手に申し込まれていた方、退職され兄弟と一緒に来られた方などさまざまでキャラ揃い。なかなか楽しいメンバーです。

まずは構造組みを体験

 自己紹介のあとは作業場へ。刻みなどの加工済みの材木を置き場から運んで実際に小屋の構造に組み、おおまかな工程をイメージしていきます。材木は直接地面には置かず、枕木状に置いた輪木(りんぎ。盤木とも言う)の上に大きなものから仮置き。エッサエッサとバケツリレーで運びます。その際、材木につけられた番付の記号(いの二、など)を見やすいように上にして置きます。こういうちょっとした決まりごとが後の作業を楽にスムーズにするんですね。
IMG_1036 その後、仮組みに入りますが、これは材木の番付記号を頼りに進めます。この記号は板図という碁盤の目の設計図に対応していて、向かって下から上へY軸に一、二、三、というように漢数字が、左から右へX軸に、い、ろ、は、というように平仮名が割り当てられています。材木の記号は、この設計図のどの座標にあるべきものかを示しており、このルールにより板図と番付を見ればだれでも建て込みができるというわけです。
 さて、これら番付された材木の端はそれぞれ継手加工されていて、はめ込んで掛矢という大きな木槌でたたいて固定。水平方向の材は一方的にたたくと他の部分がはまらなくなったりするので注意が必要です。高い位置の梁などは脚立に上らなければ届かず、慣れない私たちは掛矢をふるうのにもユラユラ。脚立での立ち方ひとつにもコツが要りますね汗。メンバーそれぞれは順番に交代しながら、小一時間かけてようやく、小屋の基本構造の仮組みが完成!小さな小屋ではありますが、木造住宅の基本構造をなす部位をひとつひとつ確認しながらの作業は専門用語もたくさん。テキストとメモに首っ引き、あれこれ質問も飛び交う、なかなかハードな午前の部でした。

奥が深〜い「木」のお話

IMG_1038 お昼をはさんで午後の部は、セミナールームで社長さんの木のお話。日本で生活する上で重要な耐震性や耐候性、快適性に優れた、木造の伝統的日本家屋の良さが披露されます。逆に見てみれば今、問題になっているシックハウス症候群やアレルギー、地震による倒壊などが、戦後の急速な住宅需要を遠因に、残念ながら広がって来たことがわかります。
 そんな「伝統構法最強説」を受け、各論とも言える木材のお話。いろんな種類のフロア材を使ったセミナールームで、実際の丸太や製材後の板などを見て、触りながら進められました。基本的な木の性質や見極め方、種類それぞれの特徴などのレクチャー。ゆっくりと朴訥ともいえる話ぶりですが、生徒の疑問にひとつひとつきちんと答えてくださる様子に、この仕事への自信と誇りを感じました。良い木材/悪い木材の見分け方など、実際にDIYで作品作りする際にも参考になるお話がたくさんありました。
(写真:節=枝の年輪の中心が寄っている方向が太陽の方向)

大工七つ道具って?

 ビデオやサンプルを見ながらの学習のあと、再び作業場で道具のお話。「大工七つ道具」といわれるカナヅチ、ノコギリ、ノミ、カンナ、サシガネ、墨壺、砥石について、女性大工の方にお話いただきました。形状や大きさ、仕組み、それぞれが必要作業を効率よく進めるために洗練されたものであることがよくわかります。ホント、日本の道具って素晴らしい!
 我々ビギナーが使う道具はここまで本格的ではないだろうけど、モノの成り立ちや基本を知って使うことは大事。実際、力が弱く体の小さい女性の視点で解説される道具の選び方や使い方などのお話は、一見わかりにくい道具類に対するハードルを下げてくれ、とてもわかりやすいものでした。この頃になると打ち解けて和やかになって来たメンバーの皆さんからも口々に驚きの声や質問が。皆さんそれぞれの経験あってこそ。活発な雰囲気が楽しい。今まで「なんちゃって」で使ってた道具もたくさんあるアタシ、早く具体的に触ってみたい!が、それはまた後日のお楽しみのようです。

片付けも重要!

 最後は小屋の仮組みの解体。組み立てと逆の手順で構造材を外していきます。釘やねじを使っていないので掛矢でたたくだけでドンドン外れます。ただし急に外れることもあるので要注意。ゴール目指して急く気持ちを抑え複数人数で息を合わせて作業します。私も脚立に乗って掛矢を持たせてもらいました。外した構造材は再び輪木の上に。すべて構造材が外れたらまたバケツリレーで置き場へしまいました。
 朝10時から夕方5時まで、お昼はさんで7時間!結構な拘束時間に内容ギッシリで退屈するヒマなし。体を動かす実践を交えてのセミナーはなかなか楽しいね。次回は尺杖と言われる定規作りから図面など、さらに踏み込んだ内容になる予定。しっかり復習しておかないと!